基礎代謝(BMR)とTDEEとは?違いとMifflin-St Jeor式での計算方法
ダイエットや増量の食事量を決めるとき、最初に知りたいのが「自分は1日にどれくらいカロリーを消費しているのか」です。その基準になるのが 基礎代謝(BMR) と TDEE(総消費カロリー) です。この記事では、2つの言葉の違いと、実際に自分の数字を計算する手順を、計算式とあわせて解説します。
基礎代謝(BMR)とは
基礎代謝(BMR=Basal Metabolic Rate)とは、何もせず横になっていても消費されるエネルギーのことです。呼吸・心臓の拍動・体温維持・内臓の活動など、生命を維持するために最低限必要な消費で、1日の総消費カロリーのうちおよそ6〜7割を占める最も大きな部分です。
基礎代謝の大きさは、主に体格(とくに除脂肪量=筋肉や骨の量)・年齢・性別で決まります。体が大きい人ほど、また筋肉量が多い人ほど基礎代謝は高くなり、年齢とともにゆるやかに低下していきます。
TDEE(総消費カロリー)とは
TDEE(Total Daily Energy Expenditure=1日の総消費エネルギー量)は、基礎代謝に日常の活動で使うエネルギーを加えた、1日の消費カロリーの合計です。次の要素の合計としてとらえられます。
| 要素 | 内容 | おおよその割合 |
|---|---|---|
| 基礎代謝(BMR) | 生命維持に使う最低限の消費 | 約60〜70% |
| 身体活動(NEAT+運動) | 家事・通勤・立ち仕事・運動など動くことによる消費 | 約20〜30% |
| 食事誘発性熱産生(TEF) | 食べ物の消化・吸収に使うエネルギー | 約10% |
基礎代謝を計算する:Mifflin-St Jeor式
基礎代謝を身長・体重・年齢・性別から推定する式はいくつかありますが、現在最も精度が高いとされるのが Mifflin-St Jeor 式(1990年)で、米国栄養士学会でも採用されています。TDEE計算機 もこの式を使っています。
- 男性:
BMR = 10 × 体重(kg) + 6.25 × 身長(cm) − 5 × 年齢 + 5 - 女性:
BMR = 10 × 体重(kg) + 6.25 × 身長(cm) − 5 × 年齢 − 161
たとえば30歳・男性・身長170cm・体重65kgなら、10×65 + 6.25×170 − 5×30 + 5 = 650 + 1062.5 − 150 + 5 ≒ 1568kcal が基礎代謝の目安です。
TDEEを計算する:活動レベル係数を掛ける
基礎代謝が求まったら、活動レベルに応じた係数(活動係数)を掛けるとTDEEになります。TDEE = BMR × 活動係数 です。よく使われる係数は次のとおりです。
| 活動レベル | 目安 | 係数 |
|---|---|---|
| ほぼ座りっぱなし | デスクワーク中心・運動習慣なし | ×1.2 |
| 軽い運動 | 週1〜3回の軽い運動・ウォーキング | ×1.375 |
| 中程度の運動 | 週3〜5回の筋トレ・ランニング(多くの人はここ) | ×1.55 |
| 激しい運動 | ほぼ毎日ハードにトレーニング | ×1.725 |
| 超ハード | アスリート・肉体労働・1日2回練習 | ×1.9 |
先ほどの基礎代謝1568kcalの人が「中程度の運動(×1.55)」なら、1568 × 1.55 ≒ 2430kcal がTDEE(1日の総消費カロリー)の目安になります。活動係数は運動の有無だけでなく、仕事や生活の動き方も含めて選ぶのがポイントです。迷ったら ×1.375〜1.55 から始めるとよいでしょう。
計算したTDEEの使い方
TDEEは食事量を決める基準値です。目的に応じて、TDEEを起点に摂取カロリーを増減させます。
- 減量(脂肪を減らす):TDEEより1日200〜500kcalほど少なく。減らしすぎ(とくに基礎代謝を下回る摂取)は筋肉の減少やリバウンドを招きやすい。
- 維持:TDEE前後で調整。
- 増量(筋肉を増やす):TDEEより1日200〜400kcalほど多く。増やしすぎると脂肪ばかり増えるため緩やかに。
摂取カロリーを決めたら、その内訳(タンパク質・脂質・炭水化物)を PFC計算機 で振り分け、必要なタンパク質量は タンパク質摂取ガイド を参考に整えます。収支と体重変化の関係は カロリー収支の解説 で詳しく扱っています。
注意点:あくまで「推定値」
計算式で求めたBMR・TDEEは、統計にもとづく推定値です。実際の代謝は筋肉量・体組成・ホルモンバランス・遺伝などで個人差があり、同じ体格でも数百kcalの差が出ることがあります。
まとめ
BMR(基礎代謝)は動かなくても消費する土台、TDEE(総消費カロリー)はそれに活動を足した1日の実消費です。Mifflin-St Jeor式でBMRを求め → 活動係数を掛けてTDEEを出す → 目的に応じて摂取カロリーを増減 → 体重の推移で微調整。この流れをおさえれば、食事管理を感覚ではなく数字で組み立てられます。まずは TDEE計算機 に自分の数値を入れてみましょう。
・Mifflin, M. D., St Jeor, S. T., et al. (1990). A new predictive equation for resting energy expenditure in healthy individuals. Am J Clin Nutr, 51(2), 241–247.
・Frankenfield, D., et al. (2005). Comparison of predictive equations for resting metabolic rate in healthy nonobese and obese adults. J Am Diet Assoc, 105(5), 775–789.
・Levine, J. A. (2004). Non-exercise activity thermogenesis (NEAT). Nutrition Reviews, 62, S82–S97.